
二ツ池が日の出前の薄い光に反射している。
どこか遠い惑星に来たようだ。

歩き始めて暫く経つと、
ふいに砂丘の頭からフェニックスが飛び立った。

人が少ないために、ハイマツは伸び放題に伸びていた。
進行方向と逆に押し戻そうとする彼らのために、
通常のペースに比べると何倍もの時間が掛かってしまった。

南岳を過ぎた辺り。
見通しの良いところで、ANAのお姉さんに電話を掛けてみた。
このままでは、硫黄山に着いたところで、
明日の飛行機には間に合わない事に気付いたのだ。
しかし、特典航空券は変更対象日の4日前に言わないと予約変更が出来ないとの事。
つまり今日から4日後以降に変更することは可能なのだが、
どうしても東京に戻らねばならない用事があったため、引き返した。
この距離で引き返すなんて・・
目指すものは目と鼻の先に在るというのに。

仕方が無いので、最後にオホーツク海と北方領土を撮ってみた。

水も減ってきていたため、ブルーベリーで渇きを潤した。
野生の酸っぱさが口に広がり心地よい。

残雪を発見。近づくには少々遠すぎた。
おそらく二ツ池を南に下っていけば当たるはずだ。

二ツ池の枯れた方の池に着いた。熊の足跡が・・

後ろ足は人間の足跡と似ている。

どこから来て、どこへ行くのかがわかる。
というか縦横無尽だった。彼らにはハイマツだとかは関係無いらしい。

ハイマツと言えば・・、
昨日の荒い息遣いとハイマツの折れる音は、
画像右奥でテントを撤収している、
東京から来たイスラエル出身のハイムさんだった。
もう18時を回って、真っ暗闇の中、
荒い息遣いと共にライトなしで近づいて来たので、
完全に熊と勘違いしてしまった。
トレッキングポールと
Petzl ZipkaPlus(ぺツル ジプカプラス)を向けながら、
恐る恐る挨拶を交わした。
ハイムさんの装備はとてもコンパクトで、
特に火器を持っていない事に驚いた。
食事はすべてフリーズドライ的なものや、
そのまま保存可能なものばかりで、
火を必要としていなかった。
ドイツパンとディップや、健康の実、ナッツ、
のし梅のようなジャムを板状に延ばしたアレ。
行動食はもちろんパワーバーだった。

今日は16:50岩尾別発のバスに乗らなければならなかったので、
頭が痛いとペースが遅くなっていたハイムさんを置いて、
先に歩を進めねばならなかった。
何かあったときのため連絡先を交換して、
握手をして別れた。

三ツ峰とその先の羅臼岳と左右に広がるオホーツク海。
ここからかなりのペースで下っていったのだが、
バスの時間にはぎりぎりで、何とか間に合わせることが出来た。

熊の家で食べた海鮮ラーメンが、この世のモノとは思えないほど美味かった。
この日はウトロの民宿に泊まって、翌日はバスターミナルから出ている、
女満別直行バスに乗って知床を後にした。(完)
知床ツアー:⑩ 南岳~二ツ池~岩尾別~ウトロ
知床ツアー:⑨ 羅臼岳~二ツ池
知床ツアー:⑧ 岩尾別~羅臼平~羅臼岳
知床ツアー:⑦ 知床五湖~岩尾別温泉~木下小屋
知床ツアー:⑥ フレペの滝~カムイワッカ
知床ツアー:⑤ 川湯~斜里~オシンコシン~ウトロ温泉
知床ツアー:④ 屈斜路湖 足湯温泉
知床ツアー:③ 摩周湖~硫黄山
知床ツアー:② 釧路湿原~摩周湖
知床ツアー:① 羽田-釧路
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